命のリミット

心は銀河のブラックホール

12月、大陸からの寒空

心は深い海の底に沈められた

太陽は1ミリたりとも届かない

何も映すことができない心

リミット

命のリミット

私のお嫁さんを長い間引き受けてくれていた彼女が、健康診断で再検査の診断

癌の恐れがあるとのこと、、、

人間だから、何時、何処で、何が起こるかなんて、、、

いつも自分に言い聞かせていた

「その覚悟もしておかなければならないぞ」と、

しかし、再検査の話を聞かされた瞬間、生半可な私の覚悟など、何の役にも立たないことを思い知った。

その場は、お互いに「どうせ大丈夫だよ、たいしたことないよね」と、気にしない素振り。

いつも元気な彼女だから、尚更辛い。

私は、コロナ禍のため元日の初詣を避けて、12月の何故か最後の大安に詣でた。

家に飾ってあった古いお札を持って、日が昇り始めに出かけた。

こんな時期に、それもこんなに朝早く、誰ひとり出会うことなく。

前に訪れたのは20年以上も前のこと。

その時頂いたお札に、我が家は長い間護られていた。

しかし、自分がこんな事にらないと、そこに思い至らないのだ。

なんと自分勝手、、、

でも、それも十分承知で、祈願したい。

検査の結果が、最悪のものでないようにと心から祈った。

お札とお守りを頂き、お札は飾り、お守りは彼女に渡した。

彼女に、何と言葉をかければいいのか、何をしてやればいいのか、

情けない、

何も思いつかない。

自分自身の心が精一杯で、、、

普段を装うのに精一杯で、、、

遠い銀河のブラックホールに、心だけが取り残されてしまった、、、

テレビドラマのように、気の利いたセリフの一つも言えない。

年が明けて、彼女と検査予約した病院へ向かった。

今を生きている全ての人に、当たり前のように朝が来るわけではない、

命のリミットは、突然に、誰にでも、そしていつ何時でも訪れる。

人間だから。

だから、

この瞬間、愛する人と共にできる時間に感謝しよう。

また、朝はやって来る。