企業再生の実話(続)とV字回復のデメリット
企業再生の成功と奢り
いつもお読みいただきありがとうございます。
上記記事の続きになります。
よろしければご一読ください。
1.企業再生の経緯
前回の記事で書いたように、再スタートのための準備は整えました。
金融機関へも提出した通り、中期経営計画(5期分)を実行に移すだけです。
♦再スタート後の経緯
第1期目決算 経常利益プラス(予算を上回る)
第2期目決算 経常利益プラス(予算案を上回り、決算手当てを支給)
第3期目決算 経常利益プラス(予算案を上回り、決算手当てを支給)
第4期目決算 経常利益プラス(予算案を上回り、決算手当てを支給)
(債務超過を解消、申告所得プラス、営業キャッシュフロープラス、銀行評価「正常先」と判定)
第5期目決算 経常利益マイナス(設備投資を実行)
上記の通り、4年で企業再生計画を達成しました。
第4期までに、支援企業からの借入金も、全額返済済み。
また、銀行からの長期借入金残高も大幅に減ったのです。
運転資金を借入れすることも、大幅に少なくなりました。
ポイント1.
経営者と従業員の危機感が一致することは無い。
⇒ 経費の削減やアウトソーシングについては、細かく科目ごとに、部門長と管理部門でコントロールが必要。
⇒ 特に主要ポストのスタッフとは、会話できる時間を増やしお互いに理解を深めていく。
2.V字回復のデメリット
再生計画を取締役5名でスタートしたのですが、私は取締役が多いと感じていました。
取締役が多いということは、役員報酬が嵩んでしまいます。
また、従業員からそう思われることがあっては、企業再生のための協力を得られにくくなると考えたのです。
私は、従前の業務をこれまで通り責任をもって遂行するということで、支援企業の社長と金融機関へ説明し、理解を得て辞任しました。
営業部門長も、個人的理由から辞任されていました。
社長をされていた前専務は、企業再生途中で病のため辞任されていました。
取締役は2名になっていました。
2人は、経理、財務の経験はありません。
取締役の経験も初めてでしたので、社員から役員に変わった時も給与減額の対象から外していました。
また、企業再生計画実行中の資金繰りと決算対策は私が行っていたのです。
・変化
業績がV字回復したことで、取引金融機関の態度が変化したのです。
私は、経験上そうなることは分かっていました。
が、取締役にしてみると、初めての経験だったのです。
これが、とんでもない勘違いをさせる原因になりました。
自分たちの力を過信し始めました。
自分たちの役員報酬を増額、、、。
また、役員車を高級車へ、、、。
私は、ずっと言い続けていました。
「フリーキャッシュフローを〇億円にすることを目標にしましょう。」と、
でなければ、また、いつどうなるか分からないのです。
企業は、現預金を持っていることで、安心して未来への投資ができるのだから。
そんな中、私は言われたのです。
資金繰りについて意見を求めると、
「銀行借入の保証人をしているのだから、そちらで考えて教えて。」
「従業員が辞めたら、また募集すればいい。」
「50才以上は、会社を辞めても再就職できないから、給与を下げても辞めないだろう。」
ポイント
殆どの経営初心者は、皆、同じ過ちを犯す。
自分の力を過信し始めた経営者は、誰にも耳を貸さない。
⇒ 業績がV字回復したことで、経営者の危機感が薄れてしまい、企業再生は簡単なんだと思わせてしまった。
経営者自身が、資金繰り対策も一生懸命考え、従業員の人心掌握することが、安定経営へ繋がる。
企業の存続と発展のために!