転職の経験で本当に学んだこと!その3
財務としての挑戦が始まったのです。
しかし、財務の経験など殆ど無いに等しかったのです。
また、そのような資料や引継ぎもなかったのです。
なぜなら、資金繰りは、、、。
ただ、この時の私にあった物は、以前の悲しい経験(転職の経験で本当に学んだこと!その1をご覧ください。)から学んだ「絶対に会社を潰してはいけない。」という強い思いだけでした。
3月の決算を控えて、社長、役員と翌期の営業戦略が話し合われました。
社長より、4月以降の展開として、毎月4店舗の設備投資を行いたいとのお話。
私は、反対しました。
その理由は、社員教育が追い付かないと思ったのです。
社員教育が追い付かないということは、お客様にご迷惑をおかけするということで、結果的に、会社の評判を悪くしてしまいます。
どれだけ店舗を拡大しても、お客様に満足いただける接客ができなければ結果はついてきません。
最前線に立ってくれるのは、現場の社員なのです。
しかし、社長は同業他社の展開を予測され、そこに危機感を感じているとのことでした。
企業として、設備投資は最重要課題です。中期的戦略(計画)を考えなくてはなりません。
結果、人材確保と社員教育を徹底することを指示していただき、設備投資を行うことになったのです。
年間設備投資計画書の作成に取り掛かりました。
まず、月次設備投資計画書を作成し、通期の総額を出していきます。
月次設備投資計画表には、プロジェクトごとに依頼する銀行、リース会社別に見られるように作成します。
例えば、毎月4店舗ですから、
1. 〇月に〇〇銀行で〇〇千万円、〇〇リース会社で〇〇千万円、
2. 〇月に△△銀行で〇〇千万円、△△リース会社で〇〇千万円、
3. 〇月に▲▲銀行で〇〇千万円、▲▲リース会社で〇〇千万円、
4. 〇月に✕✕銀行で〇〇千万円、✕✕リース会社で〇〇千万円、
を表にするイメージで、期首から期末までを作成します。
すると、月次設備投資計画表に銀行、リース会社別にそれぞれの年間融資額合計がでます。
もちろん、銀行もリース会社も、期首には本社から年間融資額の予算資料を要求されるわけですから、こちらから事前に月次設備投資計画表を提出することで、月次予測が安易にでき、予算の達成率が上がるというわけです。
事前に、予算化していただくことで、少しでも融資を受けやすくしておきます。
もちろん、都度融資の場合、各社、その都度の融資審査はありますが、、、。
(設備投資は、通常は証書貸付で、中小企業の場合、未だに担保(保証、不動産、動産ABLなど)が要求されたりします。また、企業業績によっては、銀行からの信用貸し(プロパー)ではなく、各地域の信用保証協会の保証を受ける保証付き融資(保付き)になり、保証料が必要で、銀行の借入金利は別途必要です。なお、返済については元金均等返済か、元利均等返済かを選択します。)
言うまでもなく、融資を受ける企業としては、信用保証協会の保証料なしで、銀行からの借入金利も低利(できればTIBORレート+αなど)で受けられるのが理想ですが。
現実には、厳しいようです。
(最低でも、直近の3期は黒字決算が必要で、債務超過がないことなど、金融機関の企業格付けがあります、、、。)
資金使途によっては、低保証料、低金利もありますが、限度額有り。
あと、決算報告の時に、金融関係各社(銀行、リース会社)に説明材料として作成した資料は、月次設備投資計画表をもとに前期末の融資残高、新規融資額の返済、当期末の借入金残高予測を記入した、金融機関別借入金残高予測です。
この時に注意することは、
メインバンクとサブバンクの取引額です。
もちろん、年間の借入金額合計もですが、期末の借入金残高も大事です。
これは、取引先金融機関が決算書を見たときに、メインバンクがいくら融資しているのか、メインバンクと本当に信頼関係ができていて、全面協力を受けているのかを判断する大事な資料になるのです。
メインバンクが協力的でなければ、サブバンクその他の金融機関も、融資が慎重になります。
メインバンクとの信頼関係は絶対に必要です。
毎期、黒字決算が一番良いのですが、現実は厳しい状況なので、 特に中小企業の場合、私の経験ではこのような細かい戦略(協力)も必要だと思います。
しかし、まだこの時には、
資金繰りの本当の苦しみは、何もわかっていなかったのです。